この記事では YUNZII B98 PRO QMK を、レイアウト・接続・カスタマイズ性という実用上の三点から掘り下げます。

概要

YUNZII B98 PRO QMK は、96%(100キー)レイアウトを採用した3モード接続のワイヤレスメカニカルキーボードです。結論から書くと、「テンキーは手放したくないが、フルサイズの横幅はデスクに置きたくない」人と、「届いたその日から使えて、あとから中身をいじれる板が欲しい」人に向いた一台です。逆に、競技FPSで最速の応答だけを追う人や、タクタイル/クリッキーの手応えが前提の人には、標準構成のままでは噛み合いません。

構成の要点は、ガスケットマウントと5層の制振材による打鍵フィール、3ピン/5ピン両対応のホットスワップソケット、PBTダブルショットのキーキャップ、南向きLEDのRGBバックライト、そして8000mAhという大容量バッテリーです。ファームウェアはQMK/VIAに対応し、キーマップやマクロをソフト側から書き換えられます。

最新のユーザー評価は販売ページの表示でご確認ください。レビュー件数はまだ多くありませんが、同価格帯の量産キーボードとしては高い水準です。ただし平均点の高さは「初期不良が少ない」ことを示しても、「あなたの好みの打鍵感である」ことは保証しません。この記事では、後者にあたる部分を中心に書きます。

互換性ガイド

まず接続と互換の要点を一覧にします。

項目 対応
接続方式 Bluetooth 5.0 / 2.4GHzワイヤレス / USB-C有線
想定OS Windows / macOS / Android
スイッチ MX互換の3ピン・5ピン(ホットスワップ)
キーキャップ Cherry MX互換ステム/標準はPBTダブルショット
LEDの向き 南向き(サウスフェイシング)
ファームウェア QMK/VIA

3モードのうち、遅延の面で最も安定するのはUSB-C有線、次いで2.4GHz、最後にBluetoothという順序になります。2.4GHzレシーバーは本体底面のマグネット式スペースに収納でき、持ち出し時に紛失しにくい設計です。製品説明では最大5台までのペアリングに対応するとされており、デスクトップとノートPC、タブレットを行き来する使い方ができます。背面には2段階の角度調整スタンドがあり、打鍵角度も変えられます。

OS互換で見落とされがちなのが修飾キーの並びです。WindowsとmacOSではAlt/OptionとWin/Commandの位置関係が入れ替わるため、OS切り替えスイッチかレイヤー切り替えで合わせる必要があります。本機はQMK/VIAに対応しているので、標準の割り当てが自分に合わなければキーマップ側で直せます。この「ソフトで直せる」点が、同価格帯の非QMK機に対する実質的な優位です。

スイッチ交換は3ピン・5ピンの両方に対応します。5ピン(プラスチックの足が2本あるタイプ)は足を切らずにそのまま挿せるので、選べる軸の幅が広いということです。キーキャップ側はCherry MX互換の十字ステムなら物理的に挿さりますが、96%配列には注意が必要です。この配列は下段や右Shift、テンキー周辺に特殊な幅のキーが混ざるため、一般的なフルサイズ/TKL向けのセットでは埋まらないキーが出ることがあります。交換用を買うときは「96%」「1800配列」に対応すると明記されたものを選んでください。

LEDが南向きである点は、キーキャップ交換派にとって地味に効きます。北向きLEDのボードでCherryプロファイルのキーキャップを使うとステム上部がLEDに干渉することがありますが、南向きならその心配がほぼありません。

無線機器を日本国内で使うには技適が必要です。製品情報では技適取得済みとされていますが、同一シリーズでも販売経路やロットで状況が変わることがあるため、購入前に販売ページの記載を確認しておくと確実です。

商品情報

主要な仕様は次のとおりです。

項目 内容
レイアウト 96% / 100キー
接続方式 Bluetooth 5.0, 2.4GHz, USB-C
バッテリー容量 8000mAh
スイッチ ミルクV2リニア(プレルブ済み)
ホットスワップ 3ピン/5ピン対応
キーキャップ PBTダブルショット
バックライト RGB(南向きLED)
ファームウェア QMK/VIA対応
マウント方式 ガスケットマウント

いずれも取得時点の値で、セールや為替、在庫状況で変動します。購入時は必ず販売ページで最新価格を確認してください。

ガスケットマウント、5層制振、ホットスワップ、PBTダブルショット、QMK/VIA、8000mAhのいずれか一つだけなら同価格帯にいくらでもありますが、全部入りで、しかも96%という組み合わせは選択肢が多くありません。付属品はUSB-Cケーブル、キーキャッププーラー、スイッチプーラー、ユーザーマニュアルなどで、スイッチを1個交換するのに追加で工具を買う必要はありません。

8000mAhという数字は、キーボードとしてはかなり大きい部類です。ただしRGBバックライトを常時点灯させれば消費は跳ね上がるため、公称の駆動時間はバックライト消灯時を条件にしている場合がほとんどです。逆に容量が大きいぶん、空から満充電までの時間も相応に長くなります。使いながら充電できるので実用上の不便は小さいものの、「寝る前に挿して朝に満タン」くらいの感覚で見ておくとよいでしょう。

競合製品との比較

96%前後のカスタム志向ボードは選択肢が増えています。QMK対応の96%という条件なら Keychron V5 8K、ワイヤレスでQMKを使いたいなら Keychron K13 Max が近い位置にいます。画面やノブといったギミックを重視するなら、TFT表示を備えた Redragon K762 や AJAZZ AK980 V2 も候補になります。

そのなかでの YUNZII B98 PRO QMK の持ち味は、「テンキーを残したまま3モード無線」「大容量バッテリー」「QMK/VIA」を同時に満たしている点です。情報表示パネルやeスポーツ向けの超高ポーリングレートといった尖った武器は持っていません。逆に言えば何を削っているかが分かりやすいので、優先順位が決まっている人ほど選びやすい製品です。

実際の使用感

プレルブ済みのリニアスイッチ、ガスケットマウント、5層の制振材という組み合わせは、いわゆる「クリーミー」寄りの、こもった低めの打鍵音になりやすい構成です。開封直後から潤滑されているため、自分でルブする前提の自作キットのような下準備は要りません。

一方で、この構成でも残りやすいのがスタビライザー(Space、Enter、右Shift、テンキーの0や+など長いキーの下に入る部品)の鳴きです。ハウジングやフォームでは抑えきれない部分なので、気になる場合はスタビライザーへのルブが最も費用対効果の高い追加投資になります。数百円のグリスで印象が変わる領域です。

96%配列は、フルサイズからの移行でも違和感が小さい部類です。ただしキーの間の隙間が詰まっているため、最初のうちはテンキー左端やDelete/PageUp周辺で押し間違えが出ます。多くは1週間ほどで慣れる範囲ですが、数値入力を業務で大量にこなす人は、レビュー画像などでキー間隔を確かめてから決めた方が安全です。

おすすめユーザー

  • 数値入力とゲームを1枚でこなしたい人 — テンキーを残したまま横幅を抑えられるので、表計算とゲームを同じデスクで行き来する使い方に向きます。マウスを振る余地も広がります。
  • カスタムキーボードの入口を探している人 — ホットスワップとQMK/VIAが揃っているため、「まず完成品で使い、不満が出たところだけ後から替える」進め方ができます。スイッチもキーキャップも、付属工具だけで最初から触れます。
  • 配線を減らしたい人 — 3モード対応と8000mAhの組み合わせで、机上のケーブルを1本減らせます。複数台を行き来する人ほど恩恵が大きいです。
  • 静かめの打鍵音を好む人 — リニア+制振材の構成は、クリッキー軸の甲高い音が苦手な人に合いやすい方向です。ただし「無音」ではありません(後述)。

購入前の注意点

標準スイッチはリニアだけです。 ミルクV2はプレルブ済みのリニアで、押し込みに引っかかりのない素直な軸です。指先で入力を知らせる感触(タクタイル)や、はっきりした打鍵音(クリッキー)が欲しい人には、標準構成は合いません。ホットスワップなので後から替えられますが、100キー分のスイッチを買い足すと数千円の追加になります。この費用まで含めて本体価格を見るべきです。

静音キーボードではありません。 5層の制振材が効くのは主に筐体内部の反響で、キーが底に当たる音そのものは残ります。通話中にマイクへ拾われない静けさが必要なら、静音(サイレント)スイッチへの交換が前提になります。

無線と競技用途の相性には割り切りが要ります。 反応速度を最優先するなら有線接続が基本です。2.4GHzでも日常操作やカジュアルなゲームで不満が出る場面は少ないものの、フレーム単位を争う環境では有線が安全側の選択になります。

VIAでの設定は有線接続で行うのが無難です。 ワイヤレス対応機では、設定ソフトからの認識がUSB接続時に限られる製品が少なくありません。うまく認識されないときは、まずケーブルを挿して試してください。またファームウェアの更新は失敗すると復旧に手間がかかるため、問題なく動いている状態で無理に最新版へ上げないのも一つの判断です。

持ち運び用途には向きません。 テンキー付きの筐体に8000mAhのバッテリーを積んだ構成は、必然的に重くなります。据え置き前提の製品と考えてください。なお、リチウムイオン電池を内蔵する機器は航空機では原則として機内持ち込みとなり、預け入れ荷物には入れられない点にも注意してください。

キー配列(US/JIS)とキーキャップの互換は事前に確認してください。 この種のブランドの製品はUS配列が基本です。日本語配列を前提にしているなら、購入ページの画像で刻印を確かめてください。交換用キーキャップも、前述のとおり96%対応を明記したセットを選ぶ必要があります。

販売ページの登録情報が実物と食い違うことがあります。 メーカー名や型番、同梱内容の記載が別商品のものになっている例は珍しくありません。今回の掲載情報(YUNZII / ASIN B0GL7Z6Y5L)は記事の対象と一致していますが、購入時は商品画像とタイトルで対象製品を必ず確認してください。また海外マーケットプレイス経由の個体は、保証や技適の扱いが国内流通品と異なる場合があります。

よくある質問

Q. ワイヤレス接続のままVIAでキーマップを変更できますか。
A. 設定作業はUSB-C有線で行うのが確実です。書き換えたキーマップ自体は本体側に保存されるため、設定後はワイヤレスでもそのまま使えます。

Q. スイッチは自分で交換できますか。
A. できます。3ピン・5ピンの両方に対応したホットスワップソケットなので、付属のスイッチプーラーで引き抜いて差し替えるだけです。はんだ付けは不要です。差し込むときはピンが曲がっていないかを毎回確認してください。

Q. Macでも使えますか。
A. macOSに対応しています。修飾キーの並びはOS切り替えかQMK/VIAのキーマップで合わせられます。Mac用の刻印キーキャップが同梱されるかどうかは販売ページで確認してください。

Q. キーキャップは市販のものに替えられますか。 A.

Cherry MX互換の十字ステムに対応します。ただし96%配列には特殊な幅のキーが含まれるため、「96%/1800配列対応」と明記されたセットを選んでください。LEDは南向きなので、Cherryプロファイルでも干渉しにくい構成です。

Q. バッテリーはどれくらい持ちますか。 A.

8000mAhはキーボードとしては大容量ですが、実際の駆動時間はRGBバックライトの明るさと点灯時間で大きく変わります。点灯時と消灯時では桁が違うと考えてください。公称値は消灯時を条件としている場合が多いので、販売ページに書かれた測定条件まで読むのが確実です。

販売情報

(Amazon参照)

  • メーカー名: YUNZII
  • 販売元: YUNZII Keyboard
  • 出荷元: Amazon
  • ASIN: B0GL7Z6Y5L
  • 注記: 本記事はメーカー製造品をAmazon掲載情報に基づいて紹介しています。