概要
NZXT Kraken X63 RGB 280mm(型番 RL-KRX63-RW)は、280mmラジエーターと140mmファン2基を組み合わせたAIO一体型CPU水冷クーラーのホワイトモデルです。結論から言うと、白を基調にしたケースで光り物の見た目を揃えたい人や、360mmは入らないが240mmでは心もとない人にとっては筋の良い選択肢です。一方で、冷却性能と価格だけで選ぶなら、後述する競合製品や空冷クーラーのほうが合理的な場面もあります。
最大の特徴は、ポンプヘッドのインフィニティミラーLEDと、ロゴの向きを調整できる設計です。ラジエーターを天面と前面のどちらに付けても、ロゴを正しい向きで見せられます。付属のAER RGB V2 140mmファンは流体動圧軸受と面取りされた吸気口を備え、仕様上は最大1800RPM・騒音33dBAです。ポンプ回転数、ファンカーブ、RGB照明はNZXTのCAMソフトウェアでまとめて管理できます。
Amazon.co.jp でのレビュー評価は5つ星のうち4.4(56件、2026年6月取得時点)です。件数は多くありませんが、評価が大きく割れている製品ではありません。この記事では、互換性で失敗しやすい点、競合製品との違い、買ってから気づく落とし穴を具体的に整理します。
互換性ガイド
| 確認項目 | 仕様 | 失敗しやすい点 |
|---|---|---|
| 対応ソケット | Intel LGA1700 / 1200 / 115X / 2066、AMD AM5 / AM4 | LGA1700用の固定具が同梱されているか |
| ラジエーター | 315 × 143 × 30 mm | ケースに140mmファン用の取り付け位置があるか |
| ファン | 140mm × 2(4ピンPWM) | マザーボードのファンヘッダーに空きがあるか |
| ポンプ | 3ピン | どのヘッダーにつなぐか、BIOSの設定 |
ソケット
仕様上は Intel の LGA1700 / LGA1200 / LGA115X / LGA2066、AMD の AM5 / AM4 に対応しています。AM5 は AM4 と同じ取り付け穴の配置を引き継いでいるため、AM4 用の固定具で取り付けるのが一般的です。
注意したいのは LGA1700 です。Kraken X シリーズは流通した時期によって、LGA1700 用のブラケットが入っていない在庫があったとされます。長く流通している在庫や中古品を買う場合は、同梱品リストに LGA1700 用の固定具があるかを販売ページで確認してください。仕様の対応リストに無いソケット(たとえば LGA1851)で使いたい場合は、NZXT の対応情報を確認してから判断するのが安全です。
ラジエーターとケースの寸法
ラジエーターは 315 × 143 × 30 mm です。ここに140mmファンの厚みが加わり、一般的な25mm厚のファンなら合計55mm前後になります。天面に付ける場合は、マザーボード上端のVRMヒートシンクや背の高いメモリとの距離が問題になります。前面に付ける場合は、その厚みのぶんグラフィックボードの搭載可能長が短くなるケースがあります。
見落としやすいのが「360mm対応=280mm対応ではない」という点です。280mmラジエーターは140mmファンのネジ穴ピッチを使うため、120mmファンの穴しか無い位置には取り付けられません。ケースの仕様表に「280mm」と明記された取り付け位置があるかを必ず確認してください。
電源・ヘッダー
ポンプは3ピン、ファンは4ピンPWMです。ファンが2基あるので、マザーボード側に空きのファンヘッダーが2つ、もしくは分岐ケーブルが必要です。ポンプの3ピンはCPU_FANかAIO_PUMPのヘッダーにつなぐのが一般的です。どこにもつながないと、起動時に「CPU Fan Error」を出すマザーボードもあります。
照明はNZXT独自のRGBコネクタで制御されるため、マザーボードのARGBヘッダーとはそのままでは互換がありません。また、CAMでポンプや照明を制御する構成では、内部USB 2.0ヘッダーへの接続を求められるのが一般的です。ケースのフロントパネルやファンハブなど、ほかのUSB機器とヘッダーを取り合わないかを事前に見ておくと安心です。
商品情報
Amazon.co.jp での商品名は「NZXT Kraken X63 RGB 280mm - RL-KRX63-RW - AIO RGB CPU液体クーラー - 回転インフィニティミラーデザイン - CAM V4 - RGBコネクタ - AER RGB V2 140mm ラジエーターファン (2個付属) - ホワイト」です。2021年に登場した、NZXTの280mm AIO水冷のうちRGBファンが付いたモデルで、市場ではミドルハイクラスにあたります。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| ラジエーターサイズ | 315 × 143 × 30 mm |
| ファン | 140 mm × 2(AER RGB V2) |
| ファン回転数 | 1800 RPM |
| 騒音レベル | 33 dBA |
| ポンプコネクタ | 3ピン |
| ファンコネクタ | 4ピン PWM |
| 保証期間 | 6年 |
付属品は、AER RGB V2 140mmファン2基、Intel / AMD 用マウントキット、サーマルコンパウンド、RGBコントローラーなどです。AIO水冷はポンプという消耗部品を抱える製品なので、6年という保証期間は選ぶ理由の一つになります。騒音33dBAは最大回転時のカタログ値で、実際の音はケースの吸排気やファンカーブの設定で大きく変わります。
価格について。2026年8月に取得した Amazon.co.jp の価格は、280mmクラスのAIO水冷としては明らかに桁が合わない金額でした。別の出品や、品薄時の高値を掴んだ可能性が高いため、本記事では金額を載せません。価格は変動が大きいため、商品ページで最新の価格を確認してください。参考として、eBay US では2026年7月の取得時点で $85.00 の出品がありました。ただし新品か中古か、送料や輸入時の費用がどうなるかは出品ごとに異なり、在庫状況によっても変わります。
導入手順とセットアップのコツ
取り付け位置を先に決める。 天面か前面かで、メモリ・VRM・グラフィックボードとの干渉条件が変わります。
ポンプをラジエーターより高い位置にしない。 水冷ループの中の空気はいちばん高い所に溜まります。ポンプが最上部に来ると空気を噛み、異音や冷却性能の低下の原因になります。天面に付けるか、前面ならチューブを下向きにするのが無難です。
ファンの向きを決める。 前面なら外気を吸い込む向き、天面なら排気する向きが基本です。
ヘッダーを接続する。 ポンプの3ピン、ファン2基の4ピンPWM、RGBコネクタをつなぎ、必要に応じてUSBヘッダーもつなぎます。
ロゴの向きとファンカーブを整える。 ポンプヘッドのロゴを正しい向きにしたら、CAMでアイドル時にファンが回りすぎないカーブを設定します。こうすると、33dBAという上限値よりずっと静かに使えます。
競合製品との比較
| 製品 | 強み | 弱み |
|---|---|---|
| NZXT Kraken X63 RGB 280mm | インフィニティミラーの見た目、CAMでの一元管理、6年保証、ホワイトモデルがある | 照明がNZXT独自規格、冷却性能だけなら最上位ではない |
| Arctic Liquid Freezer II 280 | 価格が安く冷却性能が高い | RGB非対応、ラジエーターが厚めで干渉しやすい |
| Corsair H115i RGB PRO XT | iCUEのエコシステムが豊富 | ポンプヘッドの見た目はKrakenに一歩譲る |
| ハイエンド空冷クーラー | 安価でポンプ故障の心配が無い | 大型でメモリ干渉やケース幅の制約がある |
冷却性能だけを見るなら Arctic Liquid Freezer II 280 が一歩リードします。ただし同製品はラジエーターが厚いため、天面に付けるとメモリとの干渉がKraken X63 RGBより起きやすくなります。Corsair H115i RGB PRO XT は、すでにCorsairの周辺機器を揃えている人なら照明を統一しやすい製品です。
同じNZXTの Kraken Z63 は、ポンプヘッドにカスタマイズできるLCDディスプレイを載せたモデルで、画像や温度を表示したい人に向いています。インフィニティミラーの光り方で満足できて、LCDの表示を作り込むつもりが無いなら、Kraken X63 RGB で足ります。
おすすめユーザー
- 白いケースでRGBビルドを組むゲーマー:ホワイトのラジエーターとファンは白基調のビルドで統一感を出しやすく、インフィニティミラーLEDがケース内のアクセントになります。
- NZXT製品で照明を揃えている人:ケースファンや照明と一緒にCAMで管理できるため、使うソフトウェアが一本で済みます。
- 静音性を重視するクリエイター:140mmファンは同じ風量を低い回転数で出しやすく、動画編集や3Dレンダリングのような長時間の負荷でも騒音を抑えやすい構成です。
- 280mmがちょうど収まるケースを使っている人:360mmは入らないが240mmでは冷却に不安がある、という中間の需要にぴったり合います。
一方で、予算を最優先する人やRGBに興味がない人は、より安価な240mmクラスの水冷や空冷クーラーも検討する価値があります。
購入前の注意点
価格データの異常に注意してください。 前述のとおり、2026年8月に取得した Amazon.co.jp の価格は製品クラスに見合わない水準でした。長く売られてきた製品は、在庫が減ると高値の出品だけが残ることがあります。極端に高い価格が表示されている場合は、他の販売店や競合製品と比べてから判断してください。
Amazonの登録情報が食い違っている可能性があります。 収集した掲載情報に、メーカー名が JONSBO で、この商品とは別の ASIN(B0CKVZRKRH)を記した情報が紛れ込んでいました。NZXT の Kraken X63 RGB とは明らかに矛盾するため、本記事からは除外しています。商品ページでもメーカー名や型番の欄が食い違っていることがあります。画像とタイトル(RL-KRX63-RW、ホワイト)で対象製品かどうかを確認してから購入してください。
LGA1700 の固定具を確認してください。 互換性ガイドで触れたとおり、在庫の時期によっては同梱されていないことがあります。LGA1700 のCPUで使う予定なら、同梱品を必ず確認してください。
中古品や長期在庫は割り切りが必要です。 AIO水冷はポンプと冷却液を抱えた消耗品で、年単位で使うと冷却液がわずかずつ減っていきます。中古品はポンプの稼働時間が分からず、購入経路によってはメーカー保証を受けられない可能性もあります。6年保証を当てにするなら、正規の販売経路から新品を買うことが前提です。
CAMソフトウェアと独自規格の問題。 CAMは機能が豊富な反面、常駐させるとシステムリソースをやや消費するため、軽量な制御を求める人には向きません。照明はNZXT独自のRGBコネクタで制御するため、他社のARGB製品と同期させたい場合は別途アダプターが必要になることがあります。ポンプヘッドのRGBケーブルは太めなので、配線の取り回しにも少しコツが要ります。
空冷で足りる構成も多いです。 CPUの消費電力がおおむね200W未満のミドルレンジ構成なら、ハイエンド空冷クーラーでも十分に冷やせることが多いです。価格とポンプ故障のリスクの両面でも空冷が有利です。見た目を統一したい、メモリ周りの空間を空けたいといった理由が無いなら、空冷も比較してみてください。
よくある質問
Q. LGA1700 や AM5 のCPUで使えますか?
A. 仕様上はどちらにも対応しています。AM5 は AM4 と同じ取り付け方式で使えます。LGA1700 の場合は、対応ブラケットが同梱されているかを確認してください。
Q. 360mm対応のケースなら入りますか?
A. 入るとは限りません。280mmラジエーターは140mmファンのネジ穴ピッチを使うため、ケースの仕様表に「280mm対応」と明記された位置があるかを確認してください。
Q. CAMを入れなくても使えますか?
A. 冷却自体はマザーボードのファン制御で動かせますが、照明やポンプ回転数を細かく設定するにはCAMが必要です。
Q. ファンの音はうるさいですか?
A. カタログ値は最大1800RPMで33dBAです。常に最大回転で回るわけではないので、ファンカーブを適切に設定すれば普段は静かに使えます。
Q. 空冷と比べてどちらがよいですか?
A. 消費電力が200W前後までのCPUなら、ハイエンド空冷で十分なことが多いです。見た目やメモリ周りの空間を重視するなら、Kraken X63 RGB が有利です。





