この記事では、Thermaltake SWAFAN EX14 ARGB TT Premium Edition 3個パック マグネット連結対応 140mm ARGB PCケースファン CL-F168-PL14SW-A FN2006 について、公表スペックと販売ページの数値を突き合わせながら、実際に組み込んだときに何が起きるかまで踏み込んで解説します。

概要

Thermaltake の SWAFAN EX14 ARGB TT Premium Edition は、140mm×140mm×25mm のARGBケースファンを3基まとめたパッケージです。結論から書くと、「光らせたい」「ケーブルを減らしたい」「吸気側と排気側で見た目を揃えたい」の3つを同時に満たしたい人のための製品であり、静音性だけを求める人や、マザーボードに5V ARGBヘッダーが無い人には向きません。

最大の特徴は着脱式ブレードです。標準ブレードとリバース(逆向き送風)ブレードが同梱され、ファン本体を裏返さずに風の向きだけを変えられます。フロント吸気とリア排気でLEDの見える面を揃えたい、あるいは「表を見せたまま逆向きに風を送りたい」という場面で効いてきます。ファンの向きと見た目が両立しない、という自作定番のジレンマに対する回答が、この機構です。

もうひとつがマグネット連結です。ファン同士を隣接させて噛み合わせると電気的にも接続され、PWMとARGBの両方をマザーボード側の1系統で引き回せます。メーカーの推奨は最大5台までの連結です。

購入前の温度感として、Amazon(日本)に掲載されている評価は5つ星のうち4.4、好評率88%、レビュー173件でした(2026年6月8日取得時点)。母数は決して多くありませんが、ケースファンの3個パックとしては良好な水準です。

こういう人 向き不向き 理由
光らせつつ配線を減らしたい 連結でヘッダー1系統、3台までならほぼ問題なし
吸気と排気で見た目を揃えたい リバースブレード同梱で本体を裏返さずに済む
フィルターやラジエーター越しに風を通したい 静圧3.17mmH2Oは140mmとしては高め
とにかく静かにしたい 最大38.8dBA、2000rpmは常用しない前提
12V RGBヘッダーしか無い × 5V ARGB必須。別途コントローラーが要る

表はあくまで目安です。以下、それぞれの根拠を数値から説明していきます。

性能の読み解き — 81.6 CFM と 38.8 dBA をどう扱うか

公表値は回転数500〜2000rpm、最大風量81.6CFM、最大静圧3.17mmH2O、ノイズ最大38.8dBAです。まず押さえるべきは、これらの最大値が同時に出るのは2000rpm、つまり最も音が出ている状態だということ。140mmファンの一般的な上限は1200〜1500rpm付近ですから、2000rpmはこのサイズとしてはかなり回るほうです。裏を返せば、風量が欲しい局面では140mmらしからぬ数値を出せる代わりに、常用回転数は自分で決める必要があります。

静圧3.17mmH2Oは140mmクラスとしては高い部類で、ダストフィルター、メッシュパネル、ラジエーターのフィン越しでも失速しにくい性格です。前面にフィルターとストレージケージがある構成や、大型ラジエーターの前段に置く用途では、この数値が効きます。逆に遮るもののない排気位置では静圧より風量が効くため、回転数を上げる意味は相対的に薄くなります。

3台合計の理論最大風量は約245CFMになりますが、これは無負荷での値で、実際のケース内ではフィルターや配線の抵抗で大きく落ちます。カタログのCFMは製品同士の比較には使えても、「何度下がるか」の予測には使えない数字だと考えてください。

下限が500rpmまで落ちることは実用上の利点です。アイドルや軽負荷では最低回転に張り付かせ、CPUやGPUの温度に応じて中速まで上げるカーブを組めば、38.8dBAという最大値は日常的にはまず顔を出しません。PWM制御ですから、BIOSまたはマザーボードのユーティリティでファンカーブを詰めることが前提の製品です。

互換性ガイド

寸法は140mm×140mm×25mmの標準厚です。ネジ穴ピッチも140mm規格なので、140mm対応の取り付け位置にはそのまま入りますが、120mm穴には入りません。手持ちのケースが「フロント120mm×3 または 140mm×2」といった仕様の場合、140mmを選ぶと搭載本数が減ります。3個パックを全部使い切れるのかを、購入前に数えておいてください。厚さ25mmは標準ですが、スリムな筐体やパネルとの間隔が狭い構成では、15mm前後の薄型しか入らない例もあります。

コネクタはファン側が4ピンPWM、LED側が3ピンARGB(5V)です。ここが最大の関門で、5V 3ピンのARGBヘッダーが無いマザーボードでは光りません。12V 4ピンのRGBヘッダーは形状が似ていますが別規格で、誤って接続するとLEDを破損するおそれがあります。ボード上の表記(5V-D-G、ADD_HEADER など)とマニュアルを必ず確認してください。

見落とされやすいのが電流です。公表されている定格から台数ごとの負荷を計算すると、次のようになります。

台数 ファン側 12V ARGB側 5V
1台 0.32A 0.72A
3台(本製品) 0.96A 2.16A
5台(連結上限) 1.60A 3.60A

一般に、マザーボードのファンヘッダー1本あたりの上限は1A(12W)程度、5V ARGBヘッダーは3A程度(製品によっては2A)が目安とされています。つまり本製品の3台連結は、どちらもぎりぎり収まる水準です。一方でメーカーが上限とする5台連結は、ファン側1.6A・ARGB側3.6Aとなり、一般的なヘッダーの定格を超える可能性が高くなります。5台つなぐなら、付属コントローラーやファンハブを介す、あるいは複数のヘッダーへ分散させることを前提にしてください。正確な定格はマザーボードのマニュアルにしか書かれていないので、そこが唯一の正解です。

ケースの形式としてはATX、Micro-ATX、Mini-ITXのいずれでも使えますが、これは「140mmファンを取り付けられる位置があるなら」という条件付きです。小型ケースほど140mm枠は前面か側面の1〜2箇所に限られます。もうひとつ、ブレード交換には手が入る作業スペースが要ります。組んだ後に方向を変える可能性があるなら、前面パネルやフィルターが工具なしで外せる構造かどうかも見ておくと、後が楽になります。

商品情報

型番は CL-F168-PL14SW-A(管理番号 FN2006)、ASIN は B0CBYZKVW2 です。主な公表仕様は、サイズ140mm×140mm×25mm、回転数500〜2000rpm、最大風量81.6CFM、最大静圧3.17mmH2O、ノイズ最大38.8dBA、コネクタは4ピンPWM+3ピンARGB(5V)、ファン定格12V/0.32A、ARGB定格5V/0.72A、消費電力は1台あたり5W、同梱ファン3基です。

価格は、2026年6月9日取得時点でAmazon(日本)が¥14,350でした。3個パックなので1台あたり約¥4,780という計算になります。ケースファンとしては明確に高価格帯で、実用重視のモデルなら1台1,000〜2,000円台の選択肢も珍しくありません。価格は頻繁に変わり、セール時には大きく動きます。実際に購入する前に、必ず商品ページで最新の価格を確認してください。

同梱物は、ファン3基に加えて交換用のリバースブレード一式、連結用ケーブル、ベアリング用潤滑剤、取り付けネジです。潤滑剤は通常使用では使いません。長く使って軸音が気になり始めたときのための予備と考えるのが妥当です。保証はメーカー標準の2年。SWAFANシリーズ自体は2023年に登場したラインで、その後120mm版のEX12やカラーバリエーションへ広がっています。

ひとつ補足すると、今回参照した販売情報では「Amazon US」と表記された枠にも同じ円建て価格が入っていました。販路の表記が混ざっている可能性があるため、通貨・販売元・出荷元は自分の目で確認したほうが安全です。eBay側は個別出品を見る形式なので、中古や並行輸入品が混ざる前提で読んでください。

競合製品との比較

製品 発光 連結 風向き変更 性格
SWAFAN EX14(本製品) ARGB マグネット連結(最大5台) ブレード交換 柔軟性と見た目の両立
Noctua NF-A14 無し 無し 無し 静音と耐久の定番
Corsair ML140 モデルによる 無し 無し 磁気浮上軸受で高静圧
Thermaltake CT140 EX ARGB ARGB デイジーチェーン 無し 同社の価格重視140mm
Lian Li UNI FAN 系 ARGB 連結 リバース専用モデルあり 連結機構の完成度が高い

数値を並べる前に整理すると、この製品の競合は「140mmファン全般」ではなく「連結できるARGBファン」です。Noctua NF-A14は静音と信頼性では依然として基準ですが、光らず連結もできないため、そもそも選ぶ理由が違います。Corsair ML140は静圧特化で寿命にも定評がありますが、単品販売が中心で配線本数は素直に増えます。

同じThermaltakeでも、CT140 EX ARGBは価格重視の実用路線で、ブレード交換機構は持ちません。「光ればよい、連結できればよい」ならそちらのほうが総額は下がります。SWAFAN EX14に追加で払う価値があるのは、風向きを後から変える可能性がある人、あるいはケース内のどの面からもファンの表側を見せたい人です。逆に、最初からリバース構成で固定すると決めているなら、リバース専用モデルを買うほうが安く済むこともあります。

導入手順とセッティングのコツ

  1. 取り付け前に、どのファンをどちら向きで使うかを決めます。吸気か排気か、どちらの面を見せたいか、紙に書き出すくらいで丁度よいです。

  2. 必要なファンだけブレードを交換します。組み込んだ後の交換は手が入らず面倒になるので、ケースの外で済ませるのが鉄則です。

  3. 連結してからケースに固定します。マグネット連結は隣接配置が前提なので、間隔を空けて取り付ける位置では連結の利点が出ません。

  4. PWMとARGBのケーブルをそれぞれ適切なヘッダーへ接続します。ARGBは必ず5V側へ。

  5. BIOSまたはユーティリティでファンカーブを作ります。アイドルは下限500rpm付近、高負荷時のみ段階的に上げる形にすると、38.8dBAの最大値にはめったに届きません。

  6. 発光はマザーボードのARGB同期ソフトで制御します。複数メーカーの制御ソフトを同時に常駐させると競合して点灯が不安定になることがあるため、使うソフトは1つに絞るのが無難です。

おすすめユーザー

第一に、見た目と配線の両方を詰めたい自作ユーザーです。ARGBファンを3基入れると通常はケーブルが6本になりますが、連結すれば実質1系統で済みます。裏配線スペースが狭いミドルタワーほど、この差は効いてきます。

第二に、エアフローを後から作り替える人です。ケースを買い替える、簡易水冷を追加する、大型のGPUに載せ替える——こうした変更のたびに吸排気のバランスは変わります。ブレード交換で風向きを変えられる本製品なら、ファンを買い直さずに構成変更へ追従できます。

第三に、ダストフィルターやメッシュ越しの吸気を重視する人です。静圧3.17mmH2Oは140mmとしては高めで、遮蔽物のある位置でも風量を保ちやすい。前面フィルター付きのケースとは相性の良い組み合わせです。

逆に、静音を最優先する人、光らせる予定が無い人、5V ARGBヘッダーを持たない世代のマザーボードを使っている人には勧めません。いずれの場合も、同じ予算でより満足度の高い選択肢があります。

購入前の注意点

まず台数と電流です。3台までなら一般的なヘッダーの許容範囲に収まりますが、「最大5台まで連結できる」を額面どおり受け取って買い足すと、ARGB側は3.6Aに達します。これは多くのマザーボードのARGBヘッダーの目安(3A前後)を超える水準で、発光が不安定になったり、ヘッダー側を痛めるおそれがあります。増設するならコントローラーかハブを前提に予算を組んでください。

次にサイズです。140mmは対応・非対応がはっきり分かれる寸法で、前面が120mm×3専用のケースには1台も付きません。3個パックは返品交換の手間も大きいので、購入前にケースの仕様表で「140mm対応の取り付け位置が何か所あるか」を必ず数えてください。天板が140mm対応でも、マザーボードのVRMヒートシンクや背の高いメモリと干渉する例があります。

三つ目は、価格に対する期待値のずれです。2026年6月9日取得時点で3個パック¥14,350、1台あたり約¥4,780という価格は、静音特化の高級ファンが買える水準です。本製品が返してくるのは「静かさ」ではなく「見た目の自由度と配線の少なさ」だと理解しておけば、買ってからの落差はありません。価格は変動するので、最終判断は購入時点の価格で行ってください。

四つ目は機構の複雑さです。着脱式ブレードは便利な反面、通常のファンより可動部と接合部が増えます。取り外すときは無理な力をかけず、フレーム側のツメを確認しながら作業してください。掃除の頻度が高い人にはブレードが外せる利点が大きい一方、雑に扱えば破損の可能性は一体型より高いと考えるのが自然です。

最後に、販売ページの掲載情報そのものについて。この製品に限らず、通販サイトの登録情報(メーカー名、型番、販売元、まれに価格)が別商品のものと入れ替わっていることがあります。今回参照したデータでも、価格の取得元表記と通貨の組み合わせに食い違いが見られました。注文前に、商品画像・タイトル・型番(CL-F168-PL14SW-A)が一致しているかを自分の目で確認してください。3個パックと単品はページが分かれていることが多く、ここも取り違えやすい箇所です。

よくある質問

Q. 5V ARGBヘッダーが無いマザーボードでも使えますか。 A.

ファンとしては使えます。4ピンPWMで回転数制御も可能です。ただしLEDはマザーボードから制御できないため、別途ARGBコントローラーが必要になります。12V 4ピンのRGBヘッダーには接続しないでください。

Q. 本当に5台まで1本のケーブルで動きますか。 A.

機構としては連結できます。ただしARGB側は1台0.72Aで、5台なら3.6A。多くのマザーボードのARGBヘッダーは3A前後が上限の目安とされており、超える可能性が高い構成です。5台運用はコントローラー経由が安全です。

Q. リバースブレードは別売りですか。
A. 3個パックには交換用ブレードが同梱されます。ファン本体を裏返さずに風向きを変えられるので、見える面を揃えたまま吸気と排気を作り分けられます。

Q. 2000rpmは実際うるさいですか。
A. 公表値は最大38.8dBAです。140mmで2000rpmはかなり高い回転数なので、常用する速度ではありません。PWMカーブで通常時を下限寄り(500rpm付近)に設定し、高負荷時だけ回す使い方が前提になります。

Q. ラジエーターに使えますか。 A.

静圧3.17mmH2Oは140mmクラスとしては高めで、ラジエーターやフィルター越しの用途にも向きます。ただし厚さ25mm+ラジエーター厚がケースのクリアランスに収まるか、天板ならマザーボード側と干渉しないかを事前に確認してください。

商品情報

(Amazon参照)

  • メーカー名: Thermaltake
  • 販売元: Amazon US
  • 出荷元: Amazon US
  • ASIN: B0CBYZKVW2
  • 注記: 本記事はメーカー製造品をAmazon掲載情報に基づいて紹介しています。