概要
Raspberry Pi 5用公式ケース SC1160 は、Raspberry Pi 社が自社ボード「Raspberry Pi 5」のために設計した純正エンクロージャです。結論から言えば、Raspberry Pi 5 を定格のまま、デスクトップや小型サーバーとして常用する人にとっては最も外れの少ない選択肢です。逆に、GPIO を毎日抜き差しするプロトタイピングや、オーバークロックして限界まで回す用途には向きません。
スナップ式のツール不要設計で、基板をケース下側パーツにのせ、上側パーツをかみ合わせるだけで組み立てが完了します。ネジもスタンドオフも不要で、作業時間は慣れていなくても数分です。重量は約 75 g と軽量で、デスク常設はもちろん、カバンに入れて持ち運ぶ使い方にも合います。カラーはブラック/グレーの組み合わせで、公式ケースらしい落ち着いた仕上がりです。
ケース内部には PWM ファンが標準装備されており、別途ケーブルを用意せずに Raspberry Pi 5 基板上のファンコネクタへ接続できます。負荷に応じて回転数が自動調整されるため、高負荷時の冷却とアイドル時の静音を両立します。市場での立ち位置は Raspberry Pi 5 用ケースのエントリー〜ミドル帯で、素材の豪華さではなく「確実に嵌まって確実に冷える」ことに振った製品です。
Amazon.co.jp の評価は 2026年9月7日取得時点で 95 件のレビューで 5つ星のうち 4.7(好評率 94%)。レビュー数としては多くありませんが、単機能アクセサリでこの水準は「想定どおりに動く」という評価が大半であることを示しています。
互換性ガイド
このケースは Raspberry Pi 5 専用です。仕様上の対応機種も「Raspberry Pi 5」のみで、Raspberry Pi 4 や Raspberry Pi 3、Zero 系、その他のシングルボードコンピュータには取り付けられません。Pi 4 と Pi 5 は基板外形こそ近いものの、USB / Ethernet の配置が入れ替わっており、さらに Pi 5 で追加された PCIe コネクタ・電源ボタン・専用ファンヘッダの位置が異なります。**購入前に、手元のボードが Raspberry Pi 5 であることをシルク印刷で必ず確認してください。**ここを間違える返品事例が最も多いポイントです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応機種 | Raspberry Pi 5 |
| モデル名 | SC1160 |
| ケースタイプ | スナップ式(工具不要) |
| 冷却方式 | アクティブ冷却(内蔵 PWM ファン 1基) |
| 重量 | 75 g |
| 素材 | プラスチック |
| カラー | ブラック/グレー |
ケースを閉じた状態でも、USB-C 電源ポート、デュアル micro HDMI、Ethernet、USB ポート、microSD カードスロット、カメラ/ディスプレイ用フラットケーブル端子など、主要なコネクタにはすべてアクセスできます。GPIO ピンもケース側面の開口部から使えるので、HAT 基板やジャンパーワイヤの取り回しも可能です。電源ボタンは側面に見える位置にあり、前面のアクティビティ LED も視認できます。
ただし「アクセスできる」ことと「快適に扱える」ことは別です。GPIO の開口部は 40 ピンヘッダを露出させるための細長いスリットで、上からピンセットやジャンパー線を差し込む形になります。1本ずつ差し替えるような作業では指が入りづらく、ブレッドボード配線を頻繁に変える人はストレスを感じるはずです。また、背の高い HAT や積層基板を載せたまま上蓋を閉じることはできません。HAT 運用が前提なら、上蓋を外して使うか、HAT 対応をうたうサードパーティ製ケースを選ぶべきです。
底面は平らに設計されているため、机の上に置いた際の安定感があります。内蔵 PWM ファンは Raspberry Pi 5 の専用ファンコネクタに接続するだけで動作し、電源を別途用意する必要はありません。逆に言えば、このファンヘッダを他の用途(別売の Active Cooler など)で埋めている場合は競合します。強力なヒートシンクや大型ファンを追加したい場合には、本ケースのような一体型構造よりサードパーティ製ケースのほうが拡張性は高いでしょう。
PCIe(M.2 HAT)を使いたい人も注意が必要です。Pi 5 の PCIe コネクタはボード上面にあり、フラットケーブルを引き出す構造上、この密閉型ケースでは上蓋を閉じたままの運用が難しくなります。NVMe SSD を積む構成を考えているなら、最初から M.2 HAT 対応を明記したケースを選ぶほうが結果的に安く済みます。
冷却性能をどう見るか
仕様上の冷却方式は「アクティブ冷却(内蔵 PWM ファン 1 基)」です。PWM 制御なので、OS 側が SoC 温度に応じて回転数を段階的に上げ下げします。アイドル時はファンが止まる、あるいはごく低速で回るため、静かな部屋でも気にならない程度に収まるのが一般的な挙動です。逆に、コンパイルや動画エンコードのように CPU を長時間 100% で回すと回転数が上がり、小径ファン特有の高めの風切り音が出ます。「常に無音」ではなく「普段は静かで、頑張るときは鳴る」タイプだと理解しておくと期待とのズレがありません。
重要なのは、これが Raspberry Pi 5 を定格で動かすための冷却だという点です。Pi 5 は Pi 4 より発熱が大きく、ケースなし・冷却なしでは高負荷時にサーマルスロットリングに入りやすくなります。本ケースの内蔵ファンは、その定格運用でのスロットリングを避けるための装備です。オーバークロックして常時フル負荷をかけるような使い方では、より大型のヒートシンクやアルミ削り出しケースのほうが余裕があります。
もう一点、ファンは可動部品なので、数年単位で使えば軸受けから音が出てくる可能性があります。24時間稼働のサーバー用途なら、静かなうちは気にせず、異音が出たら交換部品を探すという心づもりでいたほうがよいでしょう。純正アクセサリは世界規模で流通しているため、この点は比較的探しやすい部類です。
競合製品との比較
Raspberry Pi 5 用のケースは大きく三系統に分かれます。判断材料として整理します。
| タイプ | 冷却 | 拡張性 | 向く用途 |
|---|---|---|---|
| 公式 SC1160(本製品) | ファンによるアクティブ冷却 | 低(密閉・HAT非対応) | 常用デスクトップ、軽量サーバー、教育現場 |
| アルミ削り出し/ヒートシンク一体型 | パッシブ中心(無音) | 中(GPIO 開口は製品差大) | 静音重視、埃の多い環境 |
| オープンフレーム/積層型 | 露出のため任意 | 高(HAT・M.2 を載せやすい) | プロトタイピング、実験、拡張前提 |
公式ケースが持つ唯一無二の強みは、**「ボードのリビジョンやコネクタ位置に対する適合が保証されている」**ことです。サードパーティ製は安価だったり冷却が強力だったりしますが、開口部が数ミリずれてケーブルが刺さらない、付属ファンのコネクタ形状が合わない、といった当たり外れがあります。初めての1台で余計なトラブルを増やしたくないなら、公式を選ぶ理由は十分にあります。
一方で、無音運用を最優先するならパッシブ冷却のアルミケース、NVMe や HAT を積むなら積層型のほうが素直です。「公式だから全用途で最適」ではありません。
商品情報
Raspberry Pi 5用公式ケース SC1160 は、Raspberry Pi 5 の登場に合わせて展開された公式アクセサリです。国内のオンラインショップや公式ルートで購入でき、**2026年9月7日取得時点の Amazon.co.jp 掲載価格は ¥5,164(税込)**でした。価格は為替や在庫状況で変動し、セール時や販売店によってはこれより安く買えることもあります。購入時は必ず商品ページで最新価格を確認してください。
製品内容はケース本体(上下2ピースのプラスチックシェル)と PWM ファンで、ドライバーなどの工具は必要ありません。ファンのケーブルはケース側に組み込まれており、基板のファンヘッダに挿すだけで配線が完結します。
市場での立ち位置はエントリー〜ミドルクラスです。アルミ製のサードパーティケースやヒートシンク一体型ケースと比べると素材のコストはかかっていませんが、公式だけあってボードとのフィット感は非常に確実です。Raspberry Pi 5 を定格のまま運用する場合、本ケースの内蔵ファンで十分なアクティブ冷却が得られます。
保証は購入先の販売条件に依存しますが、Raspberry Pi 公式アクセサリとして世界規模で流通しており、必要なときに部品を探しやすいのが利点です。モデル名 SC1160 はブラック/グレーのみの展開で、カラーバリエーションを求める場合は別製品を検討することになります。
おすすめユーザー
- Raspberry Pi 5 をこれから始める初心者: 工具不要のスナップ式で組み立てられるため、基板の取り付け方向などで迷うことがありません。公式ケースだからこそ、対応するファンやネジを自分で探す手間も省けます。最初の1台で「ケース選びで失敗する」というつまずきを回避できる価値は小さくありません。
- デスクトップ PC がわりに毎日使う人: 内蔵 PWM ファンが一定のアクティブ冷却を保証するので、動画再生や Web ブラウジングといった日常用途で安心して運用できます。ケースが基板を保護するため、机上の万一の接触ショートも防ぎやすいです。
- 常時稼働の軽量サーバー・IoT ゲートウェイ: 密閉構造で埃をある程度防ぎ、75 g と軽いので棚やラックの隅に置いても扱いやすい構成です。
- 教室や社内で複数台を導入する担当者: すべて同じ公式ケースにすれば、組立手順・冷却・外観が統一され、管理が楽になります。トラブル時も「公式構成」であることが確認しやすいのもうれしいポイントです。
一方、頻繁に GPIO 配線を差し替えるプロトタイピング用途では、ケースの開口部から配線はできるものの、こまめな作業には窮屈さを感じるかもしれません。配線変更が多い場合はオープンフレーム型のケースや、ケースなし運用を検討するのも手です。
購入前の注意点
**1. 対応は Raspberry Pi 5 のみ。**繰り返しになりますが、Pi 4 や Pi 3 には入りません。見た目が似ているため、手元に複数世代がある人ほど間違えます。基板のシルク印刷で世代を確認してから注文してください。
**2. HAT・M.2 拡張とは基本的に併用できない。**上蓋を閉じた状態で載せられる拡張基板はごく限られます。将来 NVMe SSD や大型 HAT を足す計画があるなら、このケースは「今の構成専用」と割り切るか、最初から拡張対応ケースを選ぶべきです。買ってから気づいて2つ目を買う、という失敗が起きやすい部分です。
**3. 完全な無音ではない。**PWM ファンは高負荷時に回転数が上がります。寝室や録音環境など、静粛性が最優先の場所に置くなら、パッシブ冷却のヒートシンク型ケースのほうが適しています。
**4. 価格は「取得時点」の値。**本記事に記載した ¥5,164 は 2026年9月7日取得時点のもので、記事が更新されないまま価格だけが変わることがあります。実際に払う金額は必ず商品ページで確認してください。また海外通販と国内在庫で価格差が出やすいアクセサリでもあります。
5. 商品ページの登録情報を鵜呑みにしない。Amazon 等の掲載情報では、メーカー名・型番・出品者が実際の商品と食い違って登録されているケースがあります。今回の掲載内容(メーカー: Raspberry Pi)は製品と矛盾しませんが、購入時は商品画像とタイトルで「Raspberry Pi 5 用の公式ケース SC1160」であることを必ず目視確認してください。特に類似の互換ケースが同じ検索結果に並ぶカテゴリなので、価格だけで判断すると別物が届きます。
**6. 落下や踏みつけへの耐性は期待しない。**素材はプラスチックで、あくまで基板の保護と冷却が目的です。堅牢性を求める産業用途では金属筐体を検討してください。
よくある質問
Q. Raspberry Pi 4 に使えますか?
A. 使えません。対応機種は Raspberry Pi 5 のみです。コネクタ配置とファンヘッダの位置が異なるため、加工なしでの流用はできません。
Q. ファンは別途電源が必要ですか?
A. 不要です。Raspberry Pi 5 基板上の専用ファンコネクタに挿すだけで動作し、PWM 制御で回転数が自動調整されます。
Q. うるさいですか?
A. アイドル時や軽負荷では静かですが、CPU を長時間フル稼働させると回転数が上がり風切り音が出ます。無音を求めるならパッシブ冷却型を選んでください。
Q. GPIO は使えますか?
A. 側面の開口部から 40 ピンヘッダにアクセスできます。ただし作業スペースは狭く、背の高い HAT を載せたまま上蓋を閉じることはできません。
Q. 組み立てに工具は必要ですか?
A. 不要です。スナップ式で、基板を下側にのせて上側をかみ合わせるだけです。作業は数分で終わります。
Q. オーバークロックしても冷却は足りますか?
A. 本ケースの冷却は定格運用を前提とした設計です。常時オーバークロックで高負荷をかけるなら、大型ヒートシンクやアルミ削り出しケースのほうが余裕があります。
商品情報
(Amazon参照)
- メーカー名: Raspberry Pi
- 販売元: Amazon US
- 出荷元: Amazon US
- ASIN: B0CN5Q28TX
- 注記: 本記事はメーカー製造品をAmazon掲載情報に基づいて紹介しています。





