Cooler Master MasterLiquid 240 Atmos デュアルチャンバーポンプ高風量・長寿命ファン搭載 240mmラジエーターサイズ簡易水冷 CPUクーラー MLX-D24M-A25PZ-R1 について、スペック・互換性・実際に失敗しやすい点まで踏み込んで解説します。
概要
Cooler Master MasterLiquid 240 Atmos(型番 MLX-D24M-A25PZ-R1)は、デュアルチャンバー方式のポンプを採用した 240mm クラスの簡易水冷 CPU クーラーです。結論から言えば、Core i7 / Ryzen 7 クラスまでのミドルハイ構成を、360mm ラジエーターを入れられないケースで安定して冷やしたい人向けの製品です。240mm という寸法の制約は動かせないので、Core i9 / Ryzen 9 の全力オーバークロックを前提にした人には最初から向きません。
デュアルチャンバーポンプとは、ポンプヘッド内部を「CPU へ向かう冷えた水」と「ラジエーターへ戻る温まった水」の2室に分ける構造のことです。従来型の単室ポンプでは、戻ってきた温水が CPU 直上で冷水と混ざり、ベース面に届く水温がわずかに上がってしまいます。この設計はその混合を抑えることを狙ったもので、同じラジエーター面積でも水温差を有効に使いやすくなります。魔法のように温度が10度下がる類のものではありませんが、240mm というサイズ的に不利な条件下では効いてくる方向の改良です。
付属する SickleFlow Edge 120mm ファンは 2 基構成で、最大 2500 RPM。騒音レベルはメーカー公称で 27.2 dBA、MTTF は 16 万時間とされています。ポンプヘッドには ARGB Gen2 LED を搭載し、5V ARGB ヘッダー経由でマザーボード側のライティングと同期できます。ポンプトップカバーが取り外せる点も特徴で、公開されているデータを使って 3D プリンターで自作カバーに差し替えられます。Amazon.co.jp のユーザー評価は 2026年6月3日取得時点で 5 段階中 4.6(好評率 92%、レビュー 319 件)と安定しています。
互換性ガイド
対応ソケットは Intel の LGA1700 / LGA1200 / LGA1151 / LGA1150 / LGA1155、AMD の AM5 / AM4 です。現行の Intel 第12〜14世代と AMD Ryzen 7000 / 9000 系、さらに一世代前の環境までカバーするので、CPU を載せ替えてもクーラーだけ流用できる可能性が高い構成です。ただし、ここに挙がっていないソケット(Intel の LGA1851 や HEDT 系の sTRX4 / SP3 など)は対応表に無いため、購入前にメーカーの最新対応表を確認してください。
配線は3系統に分かれます。ポンプが 3ピンコネクター、ファンが 4ピン PWM、ライティングが 3ピン 5V ARGB です。ここで一番多い失敗は ARGB 側で、マザーボードに 4ピン 12V RGB ヘッダーしか無い環境に 3ピン 5V ARGB を挿してしまうケースです。物理的に挿さってしまうことがあり、そのまま通電すると LED を壊します。5V / D / ×/ G の並びを必ず確認してください。5V ARGB ヘッダーが無いマザーボードでは、同期を諦めて別売コントローラーを使うか、ライティングは固定のまま使うことになります。
もうひとつの失敗しやすい点が物理寸法です。ラジエーターは 277 × 120 × 27 mm。厚さ 27mm はラジエーター単体の値で、実際にはここにファン 25mm 分が加わるので、設置には最低でも 52mm 前後の奥行きが必要です。天面設置ではマザーボード上部の VRM ヒートシンクやメモリと干渉しやすく、前面設置ではケース内部のドライブベージやフロントパネル配線とぶつかります。ケース仕様表の「240mm ラジエーター対応」という表記だけを信じず、対応する厚み(ラジエーター+ファン合計)まで書いてあるか確認するのが確実です。
ポンプの消費電力として 24W という値が仕様に記載されていますが、これは一般的な簡易水冷ポンプ単体の消費電力としてはかなり大きい数字で、ポンプとファンを含むユニット全体の値である可能性があります。いずれにせよ CPU_FAN / AIO_PUMP ヘッダーの供給能力(多くのマザーボードで 1A = 12W 程度)を超える恐れがあるため、ポンプは AIO_PUMP ヘッダーに、ファンはファンヘッダーまたは分岐ケーブル経由で、それぞれ分けて接続してください。
商品情報
主な仕様は次のとおりです。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| ラジエーターサイズ | 277 × 120 × 27 mm |
| ラジエーター材質 | アルミニウム |
| ファン | 120mm × 2(SickleFlow Edge) |
| 最大ファン回転数 | 2500 RPM |
| 騒音レベル | 27.2 dBA |
| 消費電力(ポンプ) | 24 W |
| ARGB コネクター | 3ピン 5V |
| 対応ソケット | LGA1700 / LGA1200 / LGA115X / AM5 / AM4 |
| 保証期間 | 5年 |
価格は Amazon.co.jp で 2026年6月12日取得時点で ¥16,500 でした。240mm クラスの ARGB 対応簡易水冷としては標準的〜やや上の価格帯で、5年保証が付くことを踏まえれば妥当なラインです。ただし簡易水冷の実売価格はセールで数千円単位で動くため、購入時は必ず商品ページで最新価格を確認してください。
なお、参考として掲載されている eBay(米国)側の価格は、この製品クラスに対して明らかに桁が不自然です。海外マーケットプレイスの出品は転売価格や別構成品を掴んでいることがあるため、本記事ではその金額を根拠として扱いません。
ユーザー評価は 2026年6月3日取得時点で 5つ星のうち 4.6、レビュー 319 件、好評率 92% です。レビュー数が 300 件台あるうえで 4.6 を維持している製品は、初期不良率や取り付けの分かりにくさが極端に悪いということは考えにくく、その意味では手堅い選択肢と言えます。
競合製品との比較
同じ 240mm 帯には NZXT Kraken Elite 240 のようなディスプレイ搭載モデルがあり、見た目の情報量では負けます。一方で MasterLiquid 240 Atmos はポンプトップを 3D プリントで差し替えられるため、「既製品の液晶を載せる」のではなく「自分で外観を作る」方向のカスタマイズができます。どちらが好みかは完全に趣味の領域です。
冷却性能そのものを最優先するなら、同価格帯で選択肢になるのは 360mm 簡易水冷か、Thermalright Peerless Assassin 系のデュアルタワー空冷です。ラジエーター面積がそのまま効く世界なので、ケースが 360mm に対応していて見た目にこだわりが無いなら、そちらのほうが単純な温度では有利になりがちです。逆に、240mm しか入らないケース、あるいは背の高い空冷がサイドパネルやメモリと干渉する構成では、この製品のようなデュアルチャンバーポンプ搭載の 240mm が現実的な上限になります。
こんな人におすすめ
Core i7 / Ryzen 7 クラスの CPU を常用し、ゲームや動画編集など連続負荷をかけるユーザーで、ケースの都合上 240mm までしか入らない人に最も向きます。ARGB を使って内部の見た目を整えたい人、さらに 3D プリンターを持っていてポンプカバーを自作したい自作派にとっては、他に代えがきかない要素があります。ミドルタワーで前面 240mm 設置を想定している構成、空冷の背丈が問題になる横置きケースやガラスパネル構成にも収まりやすい選択肢です。5年保証があるため、数年単位で同じケースを使い続けるつもりの人にも安心感があります。
購入前の注意点
最大の割り切りポイントは、これが 240mm であるという一点です。Core i9 や Ryzen 9 クラスを高負荷で回し続ける、あるいはオーバークロックで電力を盛る用途では、ポンプ構造の工夫だけではラジエーター面積の不足を埋めきれません。ケースが 360mm に対応しているなら、素直に 360mm を選ぶべきです。「デュアルチャンバーだから 360mm 相当」という期待の仕方をすると確実に落胆します。
騒音についても注意が必要です。公称 27.2 dBA は特定条件での値であり、最大 2500 RPM まで回るファンをフル回転させれば、体感としてははっきり聞こえます。静音を重視するなら、BIOS またはユーティリティでファンカーブを設定し、常用域を 1200〜1500 RPM 程度に抑える運用が前提になります。加えて、簡易水冷である以上ポンプの動作音(ジーという連続音)はゼロにはなりません。無音に近い環境を求めるなら、大型の空冷のほうが満足度は高いはずです。
寿命の考え方も空冷とは異なります。MTTF 16万時間はファンの数値であって、ポンプや冷却液の寿命を保証するものではありません。簡易水冷はメンテナンスフリーな代わりに、数年単位で冷却液が徐々に減り、ポンプが劣化する消耗品です。5年保証は心強いものの、「一度組んだら10年放置できる」製品ではないことは理解しておいてください。エアフローの確保も重要で、ラジエーターを前面吸気にするか天面排気にするかで、GPU やマザーボード周りの温度は変わります。
もう一点、通販の商品ページについてです。Amazon の登録情報(メーカー名・ブランド名・型番・ASIN)は、まれに別商品のデータが混ざっていることがあります。注文前に、商品画像とタイトルに MLX-D24M-A25PZ-R1 の表記があるか、240mm 版であるか(同シリーズには 360mm 版も存在します)を必ず確認してください。価格も取得時点のものなので、表示されている金額がこの記事の記載と違っていても、商品ページ側が正です。
よくある質問
Q. Core i9 や Ryzen 9 でも使えますか?
A. 動作はしますが推奨しません。240mm のラジエーター面積では、長時間の全コア負荷でサーマルスロットリングに入る可能性があります。電力制限をかけて運用するなら現実的です。
Q. ARGB ヘッダーが無いマザーボードでも使えますか?
A. 冷却機能は問題なく使えます。ライティングの同期ができないだけです。4ピン 12V RGB ヘッダーには絶対に挿さないでください。LED が破損します。
Q. ポンプとファンはどこに挿せばいいですか?
A. ポンプは AIO_PUMP ヘッダー(無ければ CPU_FAN で常時 100%)、ファンは別のファンヘッダーに接続します。ポンプの回転数は落とさず、ファン側でファンカーブを調整するのが基本です。
Q. 前面と天面、どちらに付けるべきですか? A.
CPU 温度だけを見るなら前面吸気が有利ですが、ラジエーターの排熱がケース内に入るため GPU 温度は上がります。天面排気は CPU 温度がやや上がる代わりにケース内が熱くなりにくい構成です。チューブは可能な限りラジエーターより下側に来ないよう配置してください。
Q. グリスは付属しますか?
A. サーマルグリスとマウンティングキット、ネジ類は同梱されています。取り付け直す場合は別途グリスを用意してください。
Q. 240mm と 360mm、どちらを選ぶべきですか? A.
ケースが 360mm に対応していて、前面または天面に 30mm 以上の余裕があるなら 360mm です。対応していない、あるいは配線や HDD ベイと干渉するなら 240mm の MasterLiquid 240 Atmos が妥当な着地点になります。





