GPUウォーターブロックを自作する|製品が無いカードを水冷化する
ウォーターブロックは、同じGPU型番でも基板の設計が違えば付きません。製品が出ていないカードを水冷化するなら、自分で作るか、汎用ブロックで妥協するかになります。ここでは作る場合を扱います。
先に汎用ブロックを検討する
自作に入る前に、汎用ブロック(GPUコアだけを冷やし、VRAMとVRMはヒートシンクと小型ファンで冷やす方式)で足りるかを考えてください。費用は1/10以下で、失敗しても基板を壊しません。
汎用で足りないのは、VRAMやVRMの発熱が大きいカード、または見た目を揃えたい場合です。そこまでの要求があるときだけ、自作に進む意味があります。
採寸と設計
設計の起点は、GPUコアの中心位置と、基板の固定穴です。コアの周囲には四隅に穴があり、これがブロックを押さえる基準になります。
採寸はノギスで行いますが、基板の写真を高解像度で撮り、既知の寸法(PCIe端子の長さは基準になります)を使って画像上で寸法を出す方法も併用すると、誤差を見つけやすくなります。
厚みの異なる部品(VRAM、VRM、コア)に同じ面を当てるので、段差を設計で吸収する必要があります。段差は熱伝導パッドの厚みで調整しますが、パッドは押し潰される量に限りがあるため、1mm以上の差は削り出しで作ります。
設計データはCADで作ります。加工業者に渡す形式はSTEPが一般的です。
| 項目 | 考え方 | 外すとどうなるか |
|---|---|---|
| コア接触面 | 微細なフィン(0.3mm前後の溝)で表面積を稼ぐ | 平らな面だけでは冷えない |
| 流路 | 入口をコア直上に当てるジェットインピンジメント形式 | 水が素通りして温度が下がらない |
| 段差 | パッド厚で吸収できるのは概ね±0.5mm | 接触しない箇所ができ、そこが過熱する |
| 固定穴 | 純正クーラーと同じ四隅の穴を使う | 圧力が偏り、コアを割る危険 |
| Oリング溝 | 溝の深さは線径の70〜80% | 浅いと漏れ、深いと潰れて効かない |
加工をどこに頼むか
自分でCNCを持っていない場合、加工サービスに出します。国内外にオンラインで見積もりできる業者があり、STEPを投げると自動で価格が出るところもあります。
材質は無酸素銅(C1020)かニッケルめっき銅が一般的です。アルミは加工しやすいものの、銅と混在させると電食(異種金属腐食)が起きます。ループ内の金属は銅系で統一してください。
透明な蓋(アクリルまたはPOM)は別部品として作り、Oリングで挟みます。アクリルは応力割れを起こすので、ねじの締めすぎに注意が必要です。
組み立てと耐圧試験
組み上げたら、基板に載せる前に単体で耐圧試験を行います。ここを飛ばすと、漏れたときに数万円のカードを失います。
試験は、片側を塞ぎ、もう片側から空気を入れて圧力をかけ、水に沈めて泡が出ないかを見る方法が確実です。専用の加圧テスターもありますが、自転車の空気入れと圧力計でも代用できます。0.5気圧程度で十分です。
基板に載せた後も、必ずポンプだけを回して数時間の漏れ確認を行ってください。他の部品に通電しない状態で行います。
熱伝導パッドは、部品ごとに正しい厚みを使ってください。厚すぎるとコアが浮き、薄すぎると接触しません。
よくある質問
ウォーターブロックの自作にはいくらかかりますか?
設計を自分で行い、加工を外注する場合で、材料と加工費を合わせて3万〜8万円程度が目安です(2026年時点、1個だけ作る場合)。試作でやり直すと、その都度かかります。汎用ブロックなら1万円前後で済みます。
3Dプリンタで作れますか?
冷却面には向きません。樹脂は熱を通さないため、コアに当たる部分は金属である必要があります。透明な蓋や治具であれば使えますが、その場合も水と長期間接する部分は、樹脂の吸水と変形を考慮してください。
設計を間違えるとGPUは壊れますか?
壊れる可能性があります。固定穴以外の場所で圧力をかけるとコアが割れます。段差の設計を誤ると、VRMが接触せずに過熱します。漏れれば通電中の基板が損傷します。この3点が主な危険です。