UGREEN NASync DXP4800 Pro は、ドライブを別途用意して自分で組む 4 ベイのデスクトップ NAS です。この記事では、公開されているスペックと販売ページから取得した価格・レビューのデータをもとに、「何ができて、どこで妥協が必要か」を整理します。
概要
UGREEN NASync DXP4800 Pro は、3.5 インチ SATA ドライブを 4 台まで搭載できるディスクレス NAS です。メモリは 8GB を標準搭載し、最大ストレージ容量は 144TB(4 ベイ × 36TB ドライブ想定)、ネットワークは 2.5GbE ポートを複数備えます。本体はグレーの落ち着いた筐体で、防塵を意識した設計です。
位置づけとしてはミドルハイクラスです。2 ベイのエントリー NAS(Synology DS223j や DS220+ のようなクラス)から一段上がり、RAID による冗長化と 2.5GbE の速度、そして 8GB という余裕のあるメモリを最初から持っています。一方で、10GbE や ECC メモリ、ホットスワップ電源といったエンタープライズ向けの装備は前提にしていません。ホームユースの写真・動画の集約から、数人規模のオフィスのファイルサーバーまでを狙った製品と考えるのが実態に近いでしょう。
Amazon.co.jp の評価は 2026 年 6 月時点で 5 つ星のうち 4.2、レビュー 184 件(好評率 84%)です。件数はまだ多くありませんが、極端に評価が割れている製品ではありません。NAS は「買って数年使ってから真価が分かる」機器なので、レビュー件数が少ない新しめの製品を選ぶときは、後述する注意点も併せて読んでください。
互換性ガイド
まず最重要の前提として、本機はディスクレス販売です。本体だけでは 1 バイトも保存できません。3.5 インチ SATA HDD/SSD を別途、できれば同容量・同モデルで 2 台以上まとめて用意してください。ここを見落として「届いたのに使えない」となるのが、NAS で最も多い失敗です。
| 項目 | 値 | 実運用での意味 |
|---|---|---|
| ベイ数 | 4 | RAID 5 なら 1 台故障まで耐えられる |
| 標準メモリ | 8GB | 仮想マシンやコンテナを多用しなければ十分 |
| ドライブ interface | SATA | NAS 向け HDD がそのまま使える |
| 最大ストレージ | 144TB | 36TB ドライブ × 4 台を想定した理論値 |
| ネットワーク | 2.5GbE(複数) | 対応スイッチ・PC 側 NIC が必要 |
表の「最大 144TB」は理論値で、実際に使える容量ではありません。4 ベイに 12TB を 4 台入れて RAID 5 を組めば、実効容量はおよそ 36TB、RAID 6 なら約 24TB、RAID 1 の 2 組ミラーなら約 24TB です。加えてファイルシステムのオーバーヘッドと、スナップショットや空き容量の余裕(8 割を超えたあたりから書き込みが遅くなる機器は珍しくありません)を見込むと、体感で使えるのはさらに少なくなります。必要容量から逆算してドライブを選ぶときは、この差を必ず織り込んでください。
ネットワーク側も落とし穴です。2.5GbE のポートを持っていても、つなぐ先のスイッチや PC 側が 1GbE のままなら、速度は 1GbE 止まりになります。2.5GbE の恩恵を受けたいなら、スイッチ(マルチギガ対応品)と、PC 側の 2.5GbE NIC または USB アダプタまで一式そろえる必要があります。ここは NAS 本体の価格とは別に予算が要る部分です。有線 LAN ケーブルも Cat5e 以上であれば実用上は問題ありませんが、既設の古い配線をそのまま使う場合はリンク速度を必ず確認してください。
メモリについては、公開情報では DDR5 系と推定されますが、規格・スロット数・増設上限は製品ページで確認してください。断定できる情報が手元にないため、この記事では「増設できる前提」で話を進めません。8GB は、ファイル共有・バックアップ・メディア配信といった一般的な用途なら十分な容量です。
ドライブそのものの互換性については、SATA 接続であれば物理的にはほぼ問題ありませんが、NAS 向けに設計された HDD(振動対策とエラー回復時間の設定がされているもの)を選ぶことを強く勧めます。デスクトップ PC 用の一般的な HDD を 4 台密集させると、振動と熱で寿命が縮みやすくなります。
商品情報
価格は取得した時点によってかなり動いています。Amazon.co.jp では 2026 年 8 月 27 日取得時点で ¥168,824、同じ販売ページで 2026 年 6 月 5 日取得時点では ¥217,722 でした。約 5 万円の開きがあり、セールや在庫状況で大きく変動する製品だと分かります。海外マーケットプレイス側では 2026 年 7 月 14 日取得時点で $1,089.99 という記録もありますが、こちらは並行輸入扱いになり、保証やサポートの条件が国内購入と異なる可能性があります。
いずれの金額も「取得時点」のもので、今この記事を読んでいる時点の価格ではありません。特にこのクラスの NAS はセール時の値動きが大きいため、購入前に必ず商品ページで最新価格を確認してください。ドライブ代が別途 4 台分かかることも忘れずに予算に入れてください。容量にもよりますが、ドライブだけで本体と同程度の出費になることも珍しくありません。
付属品は電源アダプター、LAN ケーブル、クイックスタートガイドなど。保証はメーカー規定に準じます。国内正規流通品と並行輸入品ではサポート窓口が違うことがあるので、販売元の表記は購入前に確認する価値があります。
競合製品との比較
同じ 4 ベイ帯には、Synology や QNAP といった NAS 専業メーカーの製品が並びます。ハードウェアのスペック表だけを見ると、UGREEN 製品は同価格帯でメモリやネットワークの数値が有利に見えることが多いです。実際、8GB のメモリと 2.5GbE を標準で持つ構成は、エントリー〜ミドル帯の 2 ベイ機(1GbE・1〜2GB メモリ構成が主流)とは明確に別のクラスです。
ただし NAS の価値は、ハードウェアと同じかそれ以上に OS とアプリのエコシステム、そして長期のセキュリティ更新で決まります。老舗メーカーは 10 年以上にわたって OS を更新し続けてきた実績があり、サードパーティの連携アプリやトラブル時の情報も豊富です。UGREEN は NAS 分野では後発で、その部分の実績はまだ積み上げの途中です。「スペック表の数値で選ぶか、運用の安心感で選ぶか」が、この製品を検討するときの本質的な分岐点になります。
拡張の方向性も違います。Synology には専用の拡張ユニットを増設して物理的にベイを増やす選択肢がありますが、本機は 4 ベイという枠の中で完結させる前提で考えるのが安全です。将来 8 ベイ、10 ベイと育てていく構想があるなら、最初から拡張前提の製品ラインを選ぶほうが結果的に安く付きます。
実際の運用イメージ
家庭で使う場合、最も現実的な構成は「4 ベイ中 3〜4 台を同容量の NAS 向け HDD で埋めて RAID 5 か RAID 6、写真・動画・書類を集約し、PC とスマートフォンから自動バックアップ」というものです。2.5GbE が効くのは、数十 GB 単位の動画素材や写真ライブラリをまとめて出し入れするときで、細かいファイルを大量に扱う場面ではドライブ側がボトルネックになり、速度差はカタログほど体感できません。
メディアサーバーとして使う場合、直接再生(トランスコードなし)であればネットワーク帯域が確保できていればまず問題ありません。問題になるのはトランスコードが必要なケースで、クライアント側の対応コーデックや同時視聴人数によって必要な処理性能は大きく変わります。この点は実機での確認が確実なので、4K トランスコードを主目的にするなら、購入前に想定するファイル形式での動作報告を探すことをおすすめします。
設置面では、HDD を 4 台稼働させる以上、動作音と発熱はゼロにはなりません。寝室や、静音を求めるデスク上への設置は避け、廊下の棚やラックなど、風通しがあって多少の音が気にならない場所を選んでください。
おすすめユーザー
- 写真・動画を数 TB 単位で抱えているホームユーザー — 外付け HDD を何台も机に並べている状態から、一元管理と冗長化に移行したい人。RAID による冗長性と、スマートフォンからのアクセスの両方が一台で手に入ります。
- 数人規模のオフィスの共有ファイルサーバーが欲しい人 — 複数ユーザーでの共有、権限管理、バックアップ先としての用途。2.5GbE が活きるのは、大きなファイルを日常的にやり取りする現場です。
- 2 ベイ NAS から乗り換える人 — すでに NAS を使っていて容量と速度が足りなくなり、RAID 5 相当の構成に移りたい層。8GB メモリと 4 ベイは、この乗り換え先として素直な選択です。
- バックアップの「3-2-1 ルール」を実践したい人 — NAS を家庭内の 2 つ目のコピー先として使い、さらにクラウドへ逃がす運用の中核に据える使い方。
購入前の注意点
ドライブは別売りです。 繰り返しますが本体だけでは何も保存できません。しかも 4 台分のドライブ代は、容量によっては本体と同じかそれ以上になります。「NAS 本体の価格=総額」ではないことを、予算を立てる最初の段階で認識してください。
RAID はバックアップではありません。 ここを誤解したまま運用している人が非常に多いポイントです。RAID が守ってくれるのは「ドライブが物理的に壊れたとき」だけで、誤削除・ランサムウェア・落雷・火災・盗難からは何も守ってくれません。NAS を導入したら外付け HDD やクラウドへの二重化まで含めて設計してください。RAID 5 の再構築(リビルド)中に 2 台目が落ちて全損、というのは実際に起きる事故です。
2.5GbE を使うには周辺機器の投資が要ります。 前述のとおり、スイッチと PC 側の NIC が対応していなければ 1GbE のままです。「2.5GbE 対応だから速い」と思って買い、環境が追いついていなくて速度が変わらなかった、というのはよくある落胆です。
価格の変動が大きい製品です。 本記事で参照した取得時点の価格でも 5 万円近い差がありました。急ぐ理由がないなら、しばらく価格を観察してから判断する価値があります。
向かないケースもはっきりしています。 ①保存したいデータが 1〜2TB 程度で、増える見込みも薄い人には過剰です。2 ベイ機か、単純な外付け HDD +クラウドのほうが安く簡単です。②ネットワークやバックアップ設計に一切手をかけたくない人にも向きません。NAS は買って終わりではなく、ドライブの健康状態の確認、OS の更新、バックアップの検証が続く機器です。③エンタープライズ用途で ECC メモリや 10GbE、24 時間の保守契約が要件になる現場も、この価格帯の製品の想定範囲外です。④ NAS 専業メーカーの長期的な OS 更新実績を重視するなら、そこは正直に比較して選ぶべき部分です。
商品ページの登録情報についても一言。 通販サイトの商品情報は自動的に登録されるため、販売元やカテゴリの表記が実際の製品と食い違っていることがあります。本記事が参照したデータでも、日本円で表示されている価格エントリに「Amazon US」というラベルが付いているなど、表記の揺れが見られました。購入時は価格の通貨表記と販売元、そして商品画像とタイトルで、対象製品と発送元を必ず自分の目で確認してください。
よくある質問
Q. ドライブは何を買えばいいですか?
A. NAS 向けに設計された 3.5 インチ SATA HDD を、同容量・同モデルで必要台数まとめて用意するのが基本です。RAID を組む場合、容量が異なると小さいほうに合わせられるため、混在させるとムダが出ます。
Q. 144TB まで使えるということは、144TB 保存できますか? A.
いいえ。144TB は 4 ベイ全てに大容量ドライブを入れた場合の理論上の合計値で、RAID を組むと冗長化のぶんが差し引かれます。RAID 5 なら合計の約 4 分の 3、RAID 6 なら約半分が実効容量の目安です。
Q. 後からドライブを追加して容量を増やせますか? A.
空きベイがあれば追加は可能ですが、既存の RAID 構成に組み込めるかどうかは、選んだ RAID の種類と NAS 側の機能に依存します。将来の追加を予定しているなら、初期構築時にどの構成を選ぶかを先に決めておいてください。
Q. 1GbE の家庭内 LAN でも使えますか?
A. 使えます。ただし転送速度は 1GbE 相当に制限されます。2.5GbE の速度を得るには、スイッチと接続先の PC 側も 2.5GbE に対応させる必要があります。
Q. 動作音や消費電力は気になりますか?
A. HDD を 4 台稼働させる以上、無音にはなりません。就寝スペースの近くではなく、風通しの良い場所への設置を推奨します。消費電力は搭載するドライブに大きく左右されます。
Q. 2 ベイの NAS と迷っています。
A. 保存データが数 TB を超え、今後も増える見込みがあるなら 4 ベイが素直です。逆に 1〜2TB で頭打ちの見込みなら、2 ベイ機のほうが本体もドライブ代も安く済みます。
商品情報
(Amazon参照)
- メーカー名: UGREEN
- 販売元: Takumido
- 出荷元: Takumido
- ASIN: B0G1C1YNN8
- 注記: 本記事はメーカー製造品をAmazon掲載情報に基づいて紹介しています。





