概要

Thermaltake Massive 20 RGB は、15〜20インチの大型ノートパソコンを想定した据え置き型の冷却パッドです。結論から言うと、これは「持ち歩く人」ではなく「机の上でノートPCを固定運用する人」のための製品です。本体は 410×310×50mm・830g と、14インチ以下のモバイルノートに合わせるには明らかに大きく、その代わりに 200mm の大口径ファンを 1 基だけ回すことで、小径ファンを複数積むタイプより低い回転数で風量を稼ぐ設計になっています。RGB ライティングと USB パススルーポート 2 基を備え、ゲーミングノートやクリエイター向けノートの常設スタンドとして使うのが最も素直な使い方です。

200mmファン1基という設計が意味すること

スペック上、ファン回転数は 300〜1200rpm、ノイズレベルは 21〜28dBA です。この数字の読み方が、この製品を選ぶかどうかの分かれ目になります。同じ風量を 80mm や 120mm のファンで作ろうとすると回転数を大きく上げる必要があり、そのぶん高い周波数の風切り音が出ます。200mm を低速で回す構成は、静圧よりも「広い面をゆっくり撫でる」方向の冷却で、最大 28dBA という値は静かな部屋でも会話やゲーム音にかき消される程度の水準です。

一方で、この設計には裏返しの弱点もあります。低い静圧の風は、ノートPC底面のゴム足でできたわずかな隙間に押し込む力が弱く、底面がほぼ密閉されているタイプのノートPCでは効果が出にくいのです。効くのは、底面に大きな吸気メッシュがあり、そこにファンの風が当たる機種です。購入前に自分のノートPCをひっくり返して、吸気口が本体中央〜奥寄りにあるかどうかを確認してください。この一手間で、体感できる差が出るかどうかがほぼ決まります。

互換性ガイド

対応サイズは 15〜20インチ。設置面は 410×310mm あるため、17インチクラスのゲーミングノート(おおむね幅 39〜40cm 前後)でも底面をほぼ受け止められます。逆に 13〜14インチのモバイルノートを載せると、パッドのほうが一回り大きくはみ出し、ファンの風の大半がノートPCの外を素通りします。サイズが合わないことは冷却効率に直結するので、ここは妥協しないでください。

電源は USB-A 給電で、ノートPC側の USB ポートから取ります。別途 AC アダプタを用意する必要がない代わりに、ノートPCの USB ポートを 1 つ消費します。これを埋め合わせるのがパススルーポート 2 基で、実質的にポートは 1 つ増える計算です。ただしパススルーは給電と信号を中継する経路が 1 本のケーブルに集約されるため、外付け SSD のような帯域を使う機器や、バスパワーで動く機器を複数ぶら下げる用途には向きません。ワイヤレスマウスのレシーバー、有線マウス、USB メモリといった軽い機器を挿す場所と考えてください。

OS はドライバ不要で動作するため、Windows / macOS / ChromeOS のいずれでも使えます。RGB は固定モードで、ソフトウェアからの同期制御は想定されていません。マザーボードやノートPC側のライティングソフトと色を揃えたい人には向きません。設置面については、ベッドや布団の上ではパッド自体の吸気が塞がれて逆効果になるため、必ず平らな天板の上で使ってください。高さ調整は 2 段階で、キーボードに角度を付けたい場合に有効です。

商品情報

主要スペックを整理すると次のとおりです。

項目
ファンサイズ 200mm
ファン回転数 300〜1200 RPM
ノイズレベル 21〜28 dBA
本体サイズ 410×310×50 mm
重量 830g
対応ノートサイズ 15〜20インチ
USBポート 2基(パススルー)
RGB あり(固定モード)

発売は 2021 年、保証はメーカー 2 年、付属品は本体・USB ケーブル(Type-A to Type-A)・取扱説明書です。830g という重量は、据え置き前提なら十分軽い部類ですが、ノートPCと一緒に毎日カバンに入れて運ぶ重さではありません。カテゴリとしてはエントリー〜ミドルクラスの大型冷却パッドにあたります。

価格については注意が必要です。この記事の元になっている商品ページの取得データには、後述するとおり別製品と思われる情報が混ざっており、掲載価格が Massive 20 RGB のものかどうか判断できません。そのため本記事では具体的な金額を記載しません。価格は時期やセールで大きく変動しますので、必ず商品ページで最新の価格と、そのページが本当に Massive 20 RGB のものかを確認してください。

競合製品との比較

冷却パッドは大きく 3 タイプに分かれます。1つめが本製品のような大口径ファン 1 基型、2つめが 80〜120mm ファンを 3〜6 基並べる多connect型、3つめが排気口に直接取り付ける吸引(バキューム)式クーラーです。多ファン型は風が当たる範囲が広く、どこに吸気口があっても最低限は効きますが、高回転時の音が耳につきやすい傾向があります。吸引式は熱源に直接効く反面、機種ごとの排気口形状に依存し、取り付けの相性問題が出ます。

Massive 20 RGB は 1つめのタイプの典型で、「静かさ」と「大きなノートPCを載せられること」を優先した選択肢です。ファン速度の手動調整機構を持つ上位モデルと比べると制御の自由度は劣るので、ゲーム中は最大風量・作業中は静音、といった切り替えをしたい人は最初から別の製品を検討したほうが満足度は高くなります。

おすすめユーザー

  • 17インチ級のゲーミングノートを机に据え置きで使っている人: 設置面積に余裕があり、200mm ファンの風がノートPC底面の中央に当たりやすい構成です。長時間の高負荷でサーマルスロットリングが起きている環境なら、投資額に対する効果が最も出やすい層です。
  • 動画編集や 3D レンダリングでノートPCを長時間回す人: 冷却パッドの本領は瞬間的な温度低下ではなく、高負荷が続いたときの温度の頭打ちを下げることにあります。最大 28dBA という静かさは、音を扱う作業とも比較的相性が良い部類です。
  • ノートPCスタンドと冷却を 1 台で済ませたい人: 2 段階の角度調整があるため、外付けキーボードを使わずノートPCのキーボードをそのまま打つスタイルでも、手首の角度を改善できます。
  • ケーブルを増やしたくない人: USB-A 1 本で給電が完結し、パススルーで実質ポートが減らないため、AC アダプタを追加したくないデスク環境に向きます。

購入前の注意点

まず、この製品ページの掲載情報には食い違いがあります。 記事の元データでは、商品ページ側のメーカー名・型番・レビュー情報が、Thermaltake の冷却パッドではなく別メーカーのゲーミングマウスパッド(複数枚セット)を指す内容になっていました。同様に、掲載されている価格やレビュー件数も、その別商品のものである可能性が高いと判断しています。そのため本記事では、価格・レビュー評価・ASIN といった数値には触れていません。読者の皆さんも、商品ページを開いたら商品画像とタイトルで対象が Massive 20 RGB 本体かどうかを必ず確認し、レビュー本文が冷却パッドについて書かれているかを見てください。マーケットプレイスの相乗り出品では、こうした情報の混線が起きることがあります。

次に、製品そのものの割り切りどころです。ファン回転数は固定モードで、手動での速度調整はできません。 静かではありますが、「もっと風量が欲しい」と思っても上げる手段がないということでもあります。RGB も固定モードで、色を細かく変えたり他機器と同期させたりする用途には応えません。ここに期待して買うと確実に不満が残ります。

サイズも見落とされがちです。410×310mm は一般的なマウスパッドより大きく、奥行き 60cm 未満のデスクではノートPC・パッド・マウスの三者で場所を取り合うことになります。加えて高さが 50mm あるため、ノートPCの底が最大で 5cm 前後持ち上がり、外付けモニターと並べたときの画面高さや、手首の位置が変わります。導入後に「タイピングしづらくなった」と感じる場合は、角度調整を低いほうに戻すか、パームレストを併用してください。

最後に効果の期待値についてです。冷却パッドは、底面吸気のノートPCで数℃程度の改善を狙う補助装置であり、内部のホコリ詰まりやサーマルパッドの劣化、そもそもの冷却設計不足を解決するものではありません。すでに清掃から数年経っている機体なら、冷却パッドより先に内部清掃やグリス塗り直しを検討したほうが効果は大きいです。持ち歩きが多い人、14インチ以下のノートPCを使っている人、ファンの音を自分でコントロールしたい人には、この製品は向きません。

よくある質問

Q. 14インチのノートPCでも使えますか。
A. 物理的には載りますが、対応サイズは 15〜20インチとされており、パッドのほうが大きくはみ出します。200mm ファンの風の多くがノートPCの外に逃げるため、冷却効果は期待しにくくなります。

Q. どのくらい温度が下がりますか。
A. 機種の底面構造と設置環境に依存するため、一律の数値は示せません。底面に大きな吸気メッシュがあり、そこにファンの風が当たる機種ほど効果が出やすく、底面がほぼ密閉されている機種ではほとんど変わらないこともあります。

Q. ファンの音は気になりますか。
A. 公称値は 21〜28dBA で、大口径ファンを低回転で回す構成のため、高い風切り音は出にくい部類です。ただし回転数は固定モードのため、静音側に自分で落とすことはできません。

Q. USB パススルーに外付け HDD や SSD をつないでも大丈夫ですか。 A.

動作すること自体はありますが、パススルーは 1 本のケーブルで給電と信号を共有する構造のため、電力を多く使う機器や高速転送を行う機器には向きません。マウスのレシーバーや USB メモリなど、軽い機器の接続先と考えてください。

Q. ベッドやソファの上で使えますか。
A. 推奨しません。パッド自身の吸気が布で塞がれ、冷却効果が落ちるだけでなく本体にも負担がかかります。平らな天板の上で使ってください。

Q. RGB の色や光り方は変えられますか。
A. 固定モードのため、細かい制御や他機器との同期は想定されていません。ライティングを作り込みたい場合は、制御機能を持つ上位モデルを検討してください。